相続人は、私ひとりだから、とりあえず何もしなくても大丈夫!と、お考えの方への記事です。
数次相続の場合(まずこれがなにか?という問題はありますが)で、相続人がひとりの場合、
逆に、相続登記が1件「余計に」増える!
という摩訶不思議な現象をお伝えします(いちおうの対処法までお伝えいたします)。
数次相続とは?
事例で、ご説明します。数次相続とは、最初の①の相続が発生した後、遺産分割をしない間に(ここがポイントです!)、②、①の相続人のお1人が亡くなること、というものです。
とりあげた事例では、Aさんのお父様の相続については、数次相続が発生している、といえます。今は、お母様の遺産についての相続は、考えておりません。ちなみに、お母様の相続については、数次相続は、発生していないこともあわせてご確認ください。
この場合、遺産分割できるのか?
できます。②の相続のあとに、Aさんは、兄弟姉妹と、亡父の相続について、有効な遺産分割ができます!
全員で遺産分割協議やってることになるのか?と疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、今回は、Aさんと兄弟姉妹が、亡母の相続人でもある!ということがポイントです。
亡父の相続人であるAさんと、兄弟姉妹と、母(の相続人であるAさんと、兄弟姉妹)が遺産分割協議をしている!ということになります。
場面設定が変わります。こちらが本題
これに対して、こちらの事案には、裁判例があり、筆者である私は不合理だと思うのですが、結論は、こうです。Aさんは、②の相続のあと、1人では遺産分割協議できない。理由は、「協議」は、1人ではできないから!というものでした。
こうなると、どうなるか?
Aさんは、まず亡父名義の不動産について、まず、A2分の1、亡母2分の1とする相続登記を入れる。その次に、 亡母の2分の1を自分の名義とする亡母の相続登記を入れる。
なすべき登記が1個増えます。南関町ならいざしらず、不動産の評価が高い地域ならば・・・1つ登記が増えることの負担は大きいです。
Aさんに兄弟姉妹がいらっしゃるか、いらっしゃらないかで、大きく結論が異なるというのは、不合理だと私は思います。ただ、今のところ、これで実務が動いています。
なにか解決策はないのか?
相続人がお一人の場合、この事例では、Aさんは、お母様が亡くなる前に、Aさんとお母様とで、亡父の遺産分割をしておく、ということが、一つの解決策です。
お母様が亡くなる前に、遺産分割をしていたならば、それを実現するのは、お母様が亡くなった後でも構いません。
そうすると、亡父から、Aさんへの所有権移転登記が可能となります。
もっというと、Aさんの作成する遺産分割協議証明書に、Aさんとお母様との間で、遺産分割がなされたこと(当たり前ですが、お母様が存命中に)が記載されて、
それをAさんのみが証明すれば(実印+印鑑証明書)
それで良い!ということになっております。
結局のところ、なんだ!特に問題ない!ということにもなるかというところなのですが、書類を作成する司法書士としては、その倫理が問われる場面である、ということになります。できましたら、遺産分割協議をしたよ!というなんらかの書類を残されるか、相続登記をお早めになさることをおすすめします。
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